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理想の相手-終 [理想の相手]

「そろそろ準備しないと」
そういって彼女がバスルームに向かった。
僕のほうはもう少し遅くまでいることができる。

我が家の場合は不文律があってどんなに遅くなっても
余所には泊まらない、これを守るようにしていた。
このルールを破らない限りはなにをやっても許される。
そのかわし、どんなに遅くなっても、タクシーで帰るようにしていた。
東京からだと二万円ぐらいかかるがまあ仕方がない。

いつも夜ばっかりだとつまらないので;
「いかにも中年の不倫カップルで嫌じゃない。ラブホテルで逢って
ラブホテルで別れるのって」
とは彼女の弁だ。

たまに土曜日に会うこともあった。僕も仕事があるといって、東京に
出てくる。彼女のほうもしょっちゅう休日出勤しているらしくなんの
問題もなかった。休日の街は若いカップルでいっぱいだ。可愛い子達が
多いのだがあまりじろじろ見ないように気をつけながらさりげなく観察してみる。
26,7ぐらいだろうか一番可愛い時期かもしれない。この年代だとまだ男の子のほうが
幼い。たまに行く喫茶店に入る。カフェというより喫茶店のほうが相応しい。
美味しいコーヒーとパウンドケーキを出してくれる。挽きたての豆をドリップして入れる
コーヒーは本当に美味しい。たまにしか飲まないのだけど。
暖かい日だった。秋の日差しが店内に明るく差し込んでいる。何組かお客さんがいるのだが
眠気を誘われたのか、妙に静かだった。音を立てないようちょっと注意して
コーヒーカップを置く。
そういえば、今週になって会社のコーヒーメーカーが壊れてしまった。
アシスタントの女の子が風邪で休んでいたのでまだ新しいのを買っていなかった。
忙しかったのでとりあえず缶コーヒーを買ってその場をしのいでいたのだが
久々に飲んだ缶コーヒーがやたら不味かった(当たり前なのだが)。
それとここのコーヒーの美味しさとの対比がなぜか面白くて彼女にその話をした。
おかしそうに笑っていた彼女が突然こんな話をした。
「ああ、そういえばね、うちにもコーヒーメーカーあるわ。よかったら
使う?結婚した時もらって以来全然使っていないの。私たち家ではコーヒー飲まないから
邪魔なだけなのよねぇ」
「は? ちょっと待ってくれよ。いくらなんでも不倫相手が結婚の記念にもらった
コーヒーメーカーを受け取れるわけがないでしょ。まったくなにをいってんだか」
有り難い申し出だったが(本当にそうかは分からないが)固持した。
彼女は時々こういうおかしなことを言い出す。悪気はないのだが。


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共通テーマ:恋愛・結婚

理想の相手-3 [理想の相手]

この前もこんなことがあった。いつものラブホテルでのことだ。
大抵、僕等は終わった後抱き合って過ごす。彼女はいつも
終電のちょっと前の電車で帰るので(終電だとやたら混むらしい
のでそれを嫌っていた)時間が来るまでいろんな話をする。
「ねぇ、奥さんは浮気していないの?」
ふと思いついたのか僕に聞いてきた。
「してないね。確証は無いけどまずないな。なんにも」
「そうなの、ふーん」
「『ふーん』か。まあそんなもんだろうな。でもさ、それはそれで
困ったことなんだよ。男にしてみれば。やっぱりさあ同じ人と
ずっとやるのはやっぱり飽きるんだよ」
「そうなんだ?」
「そりゃそうだよ、どんなに旨い食い物でも毎日食べてりゃ
飽きるだろ。あれといっしょだよ。だから別に、家庭を壊さなければ
その範囲で他でやってくれても僕は全然構わないんだけどね」
「でも、そうはならない」
「そうなのよ。だから正直、彼女を抱くために、こうしているって
いう面もあるんだけどね」
彼女の場合、かなり冷めた部分があるのでこういう話も実直に
できた。とはいっても相手は女性。本当のところはわからないのだが
少なくとも
「あなたの家庭を壊すつもりはないのよ」
といってくれていた。
「いや、ホントラッキーだなお前」
「そういう相手は大事にしないと」
男はとりあえず綺麗な女と楽しくエッチできれば満足らしい。
そういう話を大学時代の悪友達にすると、皆に羨ましがられた。
とはいえ、全部を彼女に打ち明けているわけでもなかった。
仕事上、東南アジアにはしょっちゅう行っていたが
タイに2人、インドネシアに1人、そういう女の子がいた。
あちらで仕事やっている人間にとっては当たり前のことかもしれない。
が、彼女にはいわないことにした。
なんとなくそっちほうがいいような気がしたからだ。


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共通テーマ:恋愛・結婚

理想の相手-2 [理想の相手]

そういった意味で由美子は気が楽だった。今年36歳、IT系の会社で
働いている。旦那も確か同業者だった。年は5,6つ上だろうか。
美人だし、頭もよかった。でも既に結婚しているので一人で暮らしている
女の子のようにきついところがなかった。充分に大人だったしさりとて
まだおばさんにもなっていない。肉も腐りかけが一番旨いらしいので
そういう意味では理想的だった。

外から見ると人の結婚生活とはおしなべて奇妙なものだった。
(きっとうちも端から見るとそう見えるのだろう)
どちらかというとそれぞれの結婚生活を批評するうちにお互い
近づいて(結果的には近づき過ぎて)しまったのかもしれない。
結果決して本来知ることがない他の夫婦の秘密を知ることになった。
例えば、彼女たちが何年もセックスレスだったこと。
「でも浮気はしていないわね。もともとあんまり関心なさそうだし」
「だから私はこうしているのよ」
例えば、経済的には完全に別の財布なこと
「いつでも、離婚できるわね。でも慰謝料払うのは私ね」
子供のいない夫婦なんて本当に気楽なものらしい。
うちは男二人、流石にこうはいかない。

僕も自分の妻の悪口は努めていわないようにしているのだが
時折どうしても口をついてでてしまうことがあった。


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共通テーマ:求人・転職

理想の相手-1 [理想の相手]

妻帯者同士の不倫というのはお互いの立場や置かれた状況
に共感できる点が多いからだろうか、意外と上手くいくという話を
聞いたことがある。よくいえば同士、仲間。戦友と呼ぶ人もいる。
悪くいえば傷を舐め合う仲でもあるのだがまあこれは仕方がない。
僕的には独身の女の子よりもよっぽど気が楽だった。だいたい
妻子持ちに入れ込む女の子というのは根っからの愛人気質というか
もともとそのような過ちを犯すように生まれついている。
しかるべく男にしかるべく口説かれて、悪い罠にはまるのだが
そうなると辿るパターンは2つある。
1)闇
暗黒世界へ向かうタイプだ。暗いオーラを出して、単なる不倫以上の不幸を
たぐり寄せてしまう。演歌系といってもいい。きっと日本人の一定の人間には
DNAとして予め埋め込まれているのだろう。こそっとこちらの家のある街に
現れては遠目から僕の家族を(ああ、怖い、怖い)観察している、という人達だ。
こちら側からは招待した覚えはないのだが・・・・
2)怒
怒りにその負のエネルギーが向かうタイプだ。こちらもこちらで厄介極まりない。
もともとある程度美人で傍若無人に振る舞うことが社会から許されていた
(本当は許されていないのだが本人がそう錯覚している場合がほとんど
なのだが)人が多い。プライドの高さ故、現状の自身のポジションの低さに
どうしても我慢ならないというわけだ。そういえば外資系に勤める人間ってやたら
にポジション(もちろんこちらは職種のことだ)とかいうけど、不倫している女の子
が彼女たちの中にやたら多いのもなにか関係があるのだろうか?

1)もしくは2)、いずれにしてもうまくない。関係を続けると現実の生活
に必ず支障をきたす。なんらかの形で血を見ることになる。
修羅場となる。(どうでもいいことだがしゅらばとか最近漢字を手で書いていない
ので書いてみろといわれても書けそうにない。とはいっても安直に
PCで予測変換していると本当に起きてしまいそうで怖いものがある)


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